生鮮食品の機能性表示食品とは?新鮮な野菜や果物にも特別な成分表示がある!

機能性表示食品には、加工食品や飲料、サプリメントなどをイメージする方もいます。しかし、食品工場で加工されたものばかりが機能性表示食品ではありません。生鮮食品のように生のまま販売する機能性表示食品もあります。

事業者の届け出は「加工」と「生鮮」で区別され、別々に届け出がされるのです。ここでは、生鮮食品の中で選ばれた機能性表示食品について紹介します。

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生鮮食品とは

今回のポイントとなる生鮮の機能性表示食品について取り上げる前に、まずは生鮮食品の定義について説明しておきます。生鮮食品は、新鮮な生の食品のことを指します。具体的には生の野菜や果物(フルーツ)、肉、魚などです。

「生鮮」は「新鮮」を意味しています。焼く、調理するといった加工の手が一切加えられていない新鮮な食品が「生鮮食品」と呼ばれます。一般的に、機能性が表示される前は消費者が生鮮食品を買う場合に品種の違いや成分の表示を気にすることは少なかったのです。

消費者庁主導で2015年に始まった機能性表示食品の制度は、野菜や果物にまで成分の機能性を表示し、結果として野菜の包装パッケージや野菜の箱やシール、魚のパック上のシールなどを気にする消費者がたくさんあらわれたのです。

2015年の最初に生鮮の機能性表示食品は2件が登録され、もやしと温州ミカンの機能性成分が受理されています。

まずはこの2種類の生鮮食品に含まれる機能性成分について説明します。

もやしに含まれる骨を健康にする大豆イソフラボン

もやしは安くておいしい食品として知られています。特に栄養素の「大豆イソフラボン」が豊富に含まれるもやしは、骨の健康に役立つとして商品パッケージに表示することができるため、他のもやしと差別化されています。

大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをすることから女性が積極的に取りたい成分として健康ブームを引き起こしたほどです。更年期や高齢の女性は、骨がすかすかにならないように、骨を作るカルシウムやマグネシウム、ビタミンDなどの栄養素に加えてこの大豆イソフラボンを含む食品を選んで食しているのです。

さらに、このもやしは機能性表示食品としての割高感はそれほどなく、他のもやしと同じくらいの値段で売られています。もやし自体が安いため、機能性表示食品のもやしを買うようにしても消費者の負担がそれほど大きくないのです。

温州ミカンの甘みはβ―クリプトキサンチンの色素成分

甘みのある種類のみかんとして広く食べられている温州ミカンは、カロテノイドの一種であるβ―クリプトキサンチンという成分を含み、温州ミカンの中でも特に糖度の高い商品には機能性成分が表示されているのです。β―クリプトキサンチンの特徴は、万病の原因となる生活習慣病になりにくい体を作ることです。

生活習慣病の中でも糖尿病や脂質異常症(旧名:高脂血症)のような疾患をβ―クリプトキサンチンを摂取することで予防する研究も進んでいます。登録のある機能性は「骨の健康」を助けることです。骨代謝を促進することがわかっているので、機能性表示食品として骨の健康維持に役立つことをパッケージ等に表示できます。

ちなみに、温州ミカンの品種の中にはGABAを含む場合もあるため、血圧を下げることを表示できる品種もあるのです。以上は制度開始時に登録された最初の2種類ですが、消費者庁に届け出がされている生鮮食品の野菜や果物は他にもあります。

2021年5月の時点でりんごやケールなどさまざまな生鮮食品が挙げられます。

りんごはポリフェノールの成分

健康的な果物として人気で、豊富なビタミンが含まれるのはりんごです。りんごの機能性表示食品としては、リンゴ由来のプロシアニジンという成分が含まれている品種があります。プロシアニジンは内蔵脂肪を減らす機能性があることが判明しており、これを多く含む食品としての届け出がされているりんごは3品種のみです。

ぶどう、メロンはGABAの成分のみ

ぶどうはポリフェノールが含まれる食品として知られています。ただし、ポリフェノールの成分自体は少なく、生鮮の機能性表示食品として登録されている理由は、品種の中にGABAが含まれ、その成分に血圧を下げる機能性があるためです。

そのため、ぶどうの届け出は品種が1つしかありません。メロンもまたぶどうと同じGABAの機能性で2品種だけです。

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ブルーベリーは目に優しい成分

目の健康に優しい食品として食されるのがブルーベリーです。ブルーベリーには、ビルベリー由来のアントシアニンという成分が含まれており、目の疲労感を緩和する機能性があります。スマホやパソコンの画面を長時間見る人が摂取することで目の潤いを維持したり、焦点を合わせる機能をスムーズにすることが機能性成分として登録されている理由です。

トマトは血圧を下げるGABAの成分

健康のために食べたい生鮮食品として知名度の高いトマトは、もやしや温州ミカンに次ぐ登録品種数の多さです。機能性の成分にはGABAやリコピンが表示されます。特にGABAで登録しているトマトが品種のほとんどを占めているため、トマトで登録された機能性は基本的に血圧を下げることです。

GABAのもう1つの機能として、精神的ストレスを緩和することが知られており、そちらの機能性を登録している品種も中にはあります。また、トマトで有名なリコピンという成分は、機能性表示食品として血中のLDL(悪玉)コレステロールを下げる機能性で登録されているのです。

一般にはがん予防などで注目される成分ですが、機能性表示食品とは関係ありません。

ケールは目を健康にするルテインの成分

青汁で有名なケールは、トマトに並ぶ数の品種が登録されている生鮮の機能性表示食品です。機能性成分はケールの中に含まれるルテインやスルフォラファングルコシノレートです。ルテインには目の網膜(黄斑部)色素を増やす機能性があります。

体の中で機能すると青い光を吸収し、酸化防止の成分として使われます。また、スルフォラファングルコシノレートという成分には、肝炎リスクを測る「血中肝機能酵素(ALT)値」を低下させる機能があります。これにGABAを含めた3つの成分のうち届け出の1つを店頭でパッケージに表示しています。

生鮮食品を選ぶときに機能性表示食品の表示が役立つ

今回紹介した生鮮食品とは別に、ブロッコリーやなす、イワシなども機能性表示食品に登録されています。生鮮は野菜や果物そのものの成分を活用するため、届け出される生鮮食品は加工品に比べて少ないのです。しかし、その少ない品種の中で機能性が表示されているものは科学的根拠に基づいた安全性や健康機能を示します。

これは消費者が生鮮食品を比較して選ぶときの大事なポイントとなるでしょう。