アルコール飲料でも機能性表示食品になり得るのか

機能性表示食品の注目度が高まるにつれて、各メーカーが新しい機能性表示食品の開発を精力的に進めるようになりました。サプリメントだけでなく、清涼飲料水なども登場しているのでアルコール飲料にも機能性表示食品があれば良いのにと思った人もいるのではないでしょうか。

この記事ではアルコール飲料が機能性表示食品になり得るのかをわかりやすく解説します。

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お酒で健康になれる魅力

特定保健用食品の登場から月日が経ち、健康に寄与する食品に関心を持つ人が多くなりました。機能性表示食品もその流れの中で生まれてきたもので、メーカーが機能性に関する科学的根拠の責任を持つ仕組みの食品になってます。

機能性表示食品に表示されている効果については科学的根拠があるため、確かな効果を期待できるのがメリットです。次々に魅力的な機能性が示されている食品が登場してきている状況があり、自分に合うものを見つけ出すのに成功している人も増えています。

ただ、アルコール飲料の機能性表示食品は見たことがないでしょう。アルコール飲料のお酒の良し悪しについては賛否両論があります。アルコール飲料は身体に悪影響があるというのも事実ですが、少量であれば血行を良くすることによって健康を促すことができるのではないかという調査結果もあります。

ただ、アルコールそのものにもある程度の毒性があることに加えて、人の肝臓で代謝されることによって生成されるアセトアルデヒドには明らかな毒性があるのも確かです。急性アルコール中毒によって亡くなる方もいることを考慮すると、飲み方に気をつけないとかなり危険なものと言えるでしょう。

しかし、お酒を飲むと少し口が軽くなり、コミュニケーションを円滑にできるメリットがあります。また、お酒が好きな人にとってはストレス発散にも役に立っているため、必ずしもアルコールは害悪と言うことはできないでしょう。

毎日晩酌をして日々を充実させている人もいます。そのような人にとっては機能性表示食品のアルコール飲料があったら大きな魅力でしょう。毎日晩酌をすれば健康になれると考えられるからです。さまざまな機能性があるお酒が開発されたら、健康の悩みを幅広く解決できると考えられます。

お酒の文化に大きな変革をもたらす可能性すらあるでしょう。

アルコール飲料は機能性表示食品にならない

アルコール飲料の機能性表示食品が開発されるのを待ち遠しく思っている人もいるでしょう。しかし、制度上、アルコール飲料は機能性表示食品になることはありません。残念に思うかもしれませんが、機能性表示食品制度ではアルコール含有飲料を対象外としているのです。

アルコールを好まない人や、二日酔いで何度も苦しくなった人、急性アルコール中毒を経験したことがある人なら容易に理解できるでしょう。

あるいは妊娠した経験がある女性も理解できるかもしれません。アルコールには毒性があるのは事実なので、機能性表示食品としてしまうのには問題があるのです。機能性表示食品は国が効果を認めているわけではありません。

しかし、機能性表示食品として販売されていたら健康に良いものだと思う消費者は多いでしょう。すると、アルコールに弱いのに大量に飲んでしまい、急性アルコール中毒を起こすかもしれません。妊娠中にはアルコールが胎児に良くない可能性があると言われているため、飲酒は避けた方が良いでしょう。

ところが、機能性表示食品なら大丈夫だと誤解して毎日飲む習慣を作ってしまう可能性もあります。アルコールは害をなすリスクがあることがわかっている以上、消費者が誤解しないように機能性表示食品にはしないという方針が立てられているのです。

ノンアルコール飲料は機能性表示食品になれる

アルコール含有飲料については機能性表示食品にはなれませんが、アルコールが含まれていない飲料なら機能性表示食品としても認められます。機能性関与成分が含まれていて、効果についての科学的根拠が示されていれば適切な表示をして販売することが可能です。

一般的な清涼飲料水ではなく、ノンアルコール飲料として販売する場合でも例外ではありません。特定保健用食品ですらノンアルコール飲料が認められているので、機能性表示食品でも問題はないのです。実際に機能性表示食品のノンアルコールチューハイは既に販売されています。

開発を進めればノンアルコールビールやノンアルコール日本酒なども機能性表示食品になる可能性があるでしょう。

ノンアルコールの定義

機能性表示食品のノンアルコール飲料について考える上で重要なのがノンアルコールの定義です。酒税法では含有されるアルコール分が1度以上の飲料を酒類として定義しています。

ノンアルコール飲料は含有アルコールが1%未満ということになり、厚生労働省も1%未満のアルコールしか含まない飲料はノンアルコールと表示して良いという見解を示しています。ただ、酒税法に基づくノンアルコール飲料が、必ず機能性表示食品制度で認められるかはわかりません。

機能性表示食品制度ではアルコール含有飲料を認めないと定めているため、1%未満でもアルコールが含まれていると認められない可能性があります。まだ事例がないのでどのような判断になるかはわからないというのが実情です。

アルコール飲料に機能性関与成分は使える

アルコール飲料は機能性表示食品にはなれませんが、アルコール飲料に機能性関与成分を使用してはならないという法律はありません。つまり、他の製品で科学的根拠が示されている機能性関与成分を使用してアルコール飲料を製造することはできます。

難消化性デキストリンなどのように特定保健用食品の成分としても使用されているものを使って商品開発をする企業が出てくる可能性はあるでしょう。機能性表示食品として認められるわけではありませんが、成分の摂取ができるアルコール飲料にはなります。

メーカーが効果を保証しているわけではないので自己責任で飲む必要はあります。ただ、有用な成分を摂取できるのは確かなので、もし発売されたら飲むかどうかを考えてみても良いでしょう。

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アルコール飲料は機能性表示食品にならないので注意しよう

アルコールを含有している飲料は機能性表示食品になれることはありません。アルコールには害があるリスクがあるため、制度上で機能性表示食品から除外されています。ただ、機能性関与成分を使用してアルコール飲料を製造することは可能です。

このような製品がもし開発されて販売されたなら、自己責任で飲むことを検討してみましょう。